名古屋近郊私立大学一般受験について
2020年になりました。今日は1月3日、私の勤める高等学校においては今日から受験生が登校しています。河合塾でも昨日から第5タームが始まっています。受験生に正月は関係ないと言われますが、そのことを実感できる時期になりました。
年末から前期試験の申込が始まった大学(名城大学,中部大学等)もありますが、全国的には1月6日(月)申込始まりが多いようです。既に推薦専願合格をもらったり、抑え(私立大学推薦併願合格)を確保してあればいいですが、そうでない場合、まずは私立大学一般受験での合格が必要です。この合格が非常に難しくなっているのはご存じの通りです。理由は、①私立大学定員厳格化 ②超安全志向で推薦AO入試に流れている ③2020問題(共通テスト等)で浪人不可能 だと思われます。①については、昨年度同様1.1倍に抑えられましたが、厳しい状況には変わりません。②についてですが、本年度の推薦入試の志願者数は昨年度比較103%であり、AO入試の志願者数は113%となっています(全国)。推薦AO入試には併願と専願があり、併願の場合一般入試への影響が読めません。専願の場合、一般入試へ大きな影響を与えます。
資料の揃う大学で本年度の推薦AO入試状況を見てみました(この後の話は名古屋近郊私立大学一般受験に関心のある方向けとなります)。
<名城大学(推薦のみ)> 465人⇒497人(106%)<愛知大学(推薦のみ)>856⇒852(100%)
<中京大学(推薦AO)>1454⇒1537(106%)
微増と捉えれます。一つの傾向としては、併願人気です。愛知大学は推薦全体では100%ですが、併願に限ると344⇒365(106%)となります(名城大学,中京大学は不明)。全国的に難関国公立大学を狙う優秀な生徒が私立大学を併願で抑える傾向がありますが、名古屋地区でもその傾向はあります。ただ専願増加の情報もあります。中部大学の指定校推薦が2割増しであるという情報などです。いずれにせよ推薦AO入試で昨年並みもしくは昨年より微増で定員枠は埋まり、一般入試は昨年同様厳しくなるでしょう。
先日河合塾の方とお会いしたとき、厳しい私立大学一般入試へ向けてのアドバイスをもらいました。そのアドバイスは”中期・後期試験まで頑張るべき!” でした。これは昨年度私立大学一般入試の河合塾資料(全国)です。
二期の19/18が131%になっています。先ほど併願推薦入試が増加していると触れました。併願合格者が増えると大学側は”歩留まり”が読めず、中期・後期試験(二期試験)での積極的調整を行います。河合塾の方のアドバイスは尤もですが、受験生にとっては”厳しいアドバイス”だと思います。それでは確実に名古屋近郊私立大学で合格をもらうためにはどうすればよいのでしょうか。
アドバイスをします。私は受験の鉄則は次の2つだと思います。
①募集人数の多い形式で数多く受ける ②人気のない学部・学科を受ける
ここまで読んで頂いてこのアドバイスはないのではと私も思います。しかし、受験が“イス取りゲーム”である以上この鉄則は至極当たり前です。具体的に書きます。
①についてです。例えば名城大学の場合、受験はA型(3教科),B型(2教科),C型(センター),F型(センター併用),M型(マーク)の5種類あります。検定料はA,B,Mが35,000円,Fが25,000円,Cが20,000円です。受験人数の多いのはA(1,118人)とF(370人)です。このAかFを2/1,2/2,2/3の3日間(最大)とも受験すべきです。3日間ともAで受験すると検定料は105,000円となりますがここは節約すべきではありません。
②についてです。同じ大学でも人気のない学部・学科は存在します。これを見るには予備校の偏差値が良いかと思います。例えば愛知大学の文学部・地域政策学部の河合塾の偏差値です。心理(55),人文社会<現代文化>(52.5),人文社会<歴史地理>(52.5),人文社会<日本語日本文学>(52.5),人文社会<欧米言語文化>(50),地域政策<地域文化>(50),地域政策<まちづくり>(50),地域政策<食農環境>(47.5) ※すべて前期偏差値。この中では地域政策<食農環境>がお勧めです。ただし、この学科は豊橋校舎にあり、学科内容も特殊です。いろいろな条件を無視してあくまで愛知大学合格を考えた場合のお勧めです。
もうひとつ、今度は当たり前のアドバイスをします。合格するために当てにするのは模試の合否判定ではなく、”過去問題を解いて合格最低点をクリアーできるか?”だと思います。模試の合否判定は、”例年であればあなたと同じくらいの成績の生徒がどれくらいの確率で合格できるか?”を示しています。一般入試の定員枠がどの程度残っているかは判定条件に入っていないため、参考に留めたほうが良いと思われます。特に募集人数の少ない受験パターンにおいては全く当てにならないと思います。それよりも、過去問題を解いて合格最低点を上回れるかが大切です。実は各大学各教科の問題傾向は毎年それ程変わりません。また、偏差値とは関係なく”相性の良い大学入試問題”も存在します。限られた志望大学しか受験しない場合は別ですが、いくつかの大学学部学科の中から合格をしたい場合、過去問題を解いて”相性の良い大学入試問題”を探すことはとても大切です。過去問題は赤本等ですぐに手に入りますし、合格最低点は赤本,大学のHP,蛍雪時代11月号等に掲載されています。出願締め切りまで少なくとも10日程度ある現在、過去問題を解き自分の得点と合格最低点を比べることは無駄ではないですし、”相性の良い大学”が見つかればこれからでも出願すべきでしょう。
以上、名古屋近郊私立大学一般受験についていろいろ書いてきました。ここまで読んで頂いた方にお礼を申し上げ、すべての受験生およびその保護者の皆さんに敬意を示して、名古屋近郊私立大学一般入試に関する考察を終わります。